(no subject)

Jan 28, 2020 23:11

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「赤い部屋」
領のマンションの一角にある赤い照明の不気味な一室。そこには、彼の復讐に関するものが閉じ込められています。ポイントは、「この部屋には、今から起こる復讐劇の全てがある」ということ。領は、この先の復讐のシナリオの全てを事前に組み立て、完璧な準備を施しました。つまり復讐に必要な道具や、標的となる人物、そしてそれに利用する人々の写真など、全てがこの部屋に収められているというわけです。実はこの「赤い部屋」は、原作には出てきません。今回、このようなシチュエーションを作った理由。それは、あまり多くを語らない領のキャラクターを尊重しつつ、彼の心の中にある深い憎しみや強い復讐への決意を、強烈なインパクトで表現するため。いわばこの部屋は、彼の復讐心の具現化なのです。

「"審判"のタロットカード」
領が直人に最初の送るカードとして選んだ「審判」。カードの意味をしおり流に解釈すると…"過去の罪を償うときがきた"という意味で、「最後の審判」=「これまでの行いに偽りはないかを問い、それが裁かれること」を意味し、今まで避けてきたことと向き合うときがきたことを暗示しています。このカードの絵柄に注目してみてください。天使・ガブリエルが雲の上でラッパを咲いています。直人が過去に犯した罪を償い、忘れたくても忘れられなかった記憶と正面からぶつかる時がきたことを、領が天使のラッパの音のように警告しているのです。

「オーバー・ザ・レインボー」
たびたび劇中に登場する「オーバー・ザ・レインボー」。この曲にも深いメッセージが込められています。「Somewhere over the rainbow, skies are blue//And the dreams that you dare to dream really do come true」 =虹の向こうの空は青く、信じた夢は全て現実のものとなる。第1話で、11年前、領の弟・英雄がハーモニカでこの曲を練習しているシーンがありましたよね。この時のこの曲には"今を乗り越えれば、虹の向こうにある夢が叶う" と、希望に満ちた意味を持っています。しかし… 「Somewhere over the rainbow, bluebirds fly」 =虹の向こうのどこかに、青い鳥は飛ぶ "幸せの青い鳥は虹の向こうに選んでいけるのに、なぜ自分は向こうに行けないのだろう" 復讐に自分のみを任せた今の領には無念の気持ちが込められています。家族との思い出の曲。家族はみな虹の向こうに行ってしまったのに、自分だけこらに残されてしまった・・・領にとってこの曲は、そんな悲しい曲なんです。だから、この曲を聴く時の領は悲しい表情をしていて、この曲を聴き終わった寮は復讐に向かう魔王へと変化するのです。

「カメラアングル」
直人はよく、人に観察されているようなアングルで撮られています。どれは、この一連の事件に翻弄される直人が、実は領の手のひらの上で転がされているということを表現しています。直人自身が犯したかこの事件こそが、今、自分をこのような状況に追いやったのだと直人自身がわかるまで、そして真犯人は誰なのか、そしてその本当の狙いは何なのかという答えにたどり着くまで、直人は領の手の内にいるのです。また、第1話最後の直人シーン。当初は自転車に躓いて転ぶのでなく、酔っ払ってゴミの山に埋もれる設定でした。自転車にぶつかって転ぶ設定に変更したのには意味があります。直人の登場シーンを覚えていますか?犯人を追いかけている途中、自転車にぶつかり、転んだ直人はすぐに立ち上がって犯人を追いかけています。しかし、ラストでは、立ち上がることもできないまま、悲しい叫びとともにうずくまってしまう…。直人のそんな心情の対比を表すために、加藤監督が設定を変更したのです。一方、領に関しても台本を作る時点から、練られていた演出プランありました。それは、教会でしおりと出会うシーンの最後のカット。その時、優しく微笑む領の背景に現れるのは、十字架――果たして領は神になった気でいるのでしょうか?それとも散華しているのでしょうか?その答えは、物語が進むにつれて明らかになったいます。

「7月4日」
第1話放送の7月4日。この日は領にとって特別な日です。11年前の7月4日、それは直人に「正当防衛で無罪」の判決が出た日――。その日こそ、領が復讐を決意し、壮大な計画に向け働き始めた日なのです。赤い部屋に吊るされた直人の連続写真は全て、7月4日に撮られたものです。そこには、直人が安穏と成長していく姿と、そんな直人を狙い、徐々に大きく見えてくる領の手が写されています。領は毎年、7月4日に直人を撮り続けることで、自らの復讐心を鼓舞してきたのです。領の美しく壮大な復讐劇――その幕を開けるには、その日をおいて他になかったのです。

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