二宮和也 X 吉高由里子
「この人の最大の魅力は。。。語尾がだらしないところ(笑)」 二宮
「返答スピードの速さは変態レベルのすごさです」 吉高
出演した本人が純粋に楽しめる
そんな作品の力が感慨深い
ー 「GANTZ] 2部作を通して、 一番衝撃的だった出来事は?
吉高: 嵐というスーパースターの一員である ”二宮和也” の影響力ってすごいんだなぁと。私が撮影中にこっそりガンツスーツを着てたという話を二宮さんが会見でポロッと言っちゃったら、どの取材を受けてもその話ばっかりで(笑)。
二宮: それは嵐の影響力じゃなくて、みんながその話を求めたの!
吉高: その場にいないのにインタビュアーの質問まで支配し始めて、「支配力まで強大だなぁ」と(笑)。
二宮: みんなさ、「きたんですか、実際?」ってことを聞きたいじゃん、そこは。
吉高: 役者もできて、世界的にも評価されてる人の一言って、こんなに爆発的なものなんだなと、ビックリしました。
二宮: ポロポロつけ足してくねぇ(笑)。
吉高: あと松山さんは、撮影が本当怒涛でしたよね?
二宮: いやぁ、半端ないね!めちゃくちゃ大変だったと思う。俺、「玄野くんでよかったなぁ」と思ったくらいだもん。
吉高: 私も「多恵ちゃんでよかったなぁ」って(笑)。もうバッタバッタしてましたね。
二宮: 1カットのためにものすごい泥だらけになって、それをまた落として普通の服に戻って、またドロドロになって、光るタイプのガンツスーツを着て、光らないのに着替えて、また服になって。。。
吉高: 芝居も大変だけど、とにかく怒涛すぎて、作業的に大変そうだなと思いましたね。汚して撮影して、終わったら毎回タオルで拭いて落としてたから。
二宮: あれは本当、大変だったろうなぁ。
ー 二宮さんがこの作品で一番衝撃を感じた点は?
二宮: 俺が衝撃的だったのは。。。。CGの合成カットの違和感のなさ。。。!これまで見たものはどこかに引っかかりを感じる画が多かったんだけど、何にも感じずに見られたら。しかも山田(孝之)くん「ホントすごいから、全然ストレスなく見れると思うよ」って言うから、相当高い期待値でパート1を見たんだけど、それにも拘らず、何も引っかかりを感じることなく純粋に作品として楽しめた。日本映画の技術がどこまで来てるか詳しくは知らないけど、そんなことを超えて、作った側として感慨深いものがあったなぁ。
吉高: 私は人が線のように消えていく、転送のシーンが衝撃的で。撮影中はね、消えてないのに消えた芝居をしなきゃいけないらしいとか、いろいろ聞いていたので(笑)、余計CGのリアルさがすごいと思いました。
二宮: 転送のタイミングだったり、転送される順番だったり、手からや頭からだったりは、なんでなのかと思うと、それは俯瞰で見ているガンツが「ここで別れたら一番辛いだろうな」ってタイミングで転送したりしてたんじゃないかって気がする。自分的には、ガンツ自体をすごく人為的なものにしたかったし、”パーフェクト.アンサー” もガンツが望んだことだという感じがしてるけど。
直接的な感情が見えない恋愛が新しかったなと思う
ー 玄野と多恵の恋愛はどのように?
二宮: 玄野くんは多恵ちゃんのことが好きになってるんだけど、多恵ちゃんに本当のことは1つも言ってないんだよね。普通に見てるだけだとそんなにわからないと思うけど、実は最後まで嘘をつきっ放しで。そこは悲劇的だなと思うと同時に、俺は「そういう恋愛もありだな」と思って演じてたね。
吉高: 私は嘘にも気づかず、ただ追いかけて追いかけて、すれ違って。。。本当に優しくない恋愛でしたね(笑)。虚像を実像だと思って過ごしていた世界だと思うんですけど、玄野くんは多恵ちゃんが描いてたマンガのヒーローになろうとしてくれたんだなと思う。状況的には嘘をついていても、それが心の奥からの思いの表われだからすごい愛情だし、多恵ちゃんは幸せだとも思いますね。
二宮: あんまり直接的な感情では見えない恋愛っていうのが、すごく新しかったなと思うよね。直接的じゃないからこそ、ラストも1つじゃない、いろんな見方ができると思うし。
ー 共演して互いに刺激を受けた点、魅力を感じた点は?
吉高: 常に刺激的ですよ。
二宮: いやいや、あなたも相当刺激的だから(笑)。...ま、これは俺の完全なる個人的な意見だけど、この人の最大の魅力は、語尾がだらしないところですね。自分はそこがすごく好きだから。映画の質にもよるんだろうけど、俺は聞きやすい言葉って聞いてると眠たくなってきちゃう。注意を払って、聞き取る作業をしなくても、ポンポン入ってきちゃうんで。でも、彼女の場合は、もちろん言葉は入ってくるんだけど、それプラス1回、何か引っかかるようなフックが常にあるっていうか。「すごく大事なことをどうでもいいところでポロッと言いそうだから、ちゃんと聞いとなきゃ」みたいな感じがすごくあるので(笑)。
吉高: アハハハ。
二宮: 滑舌が悪いことを気にする人もいる中で、あまり気にしてなさそうだし...。
吉高: してるわっ!完成作を見た時に、ガンツに呼び戻されるメンバー中の緑ちゃん(緑友利恵)のセリフを聞いて、「めちゃ滑舌いいじゃん!」って、ちょっと落ち込んだし...。
二宮: だって、めっちゃ練習してたもん。でも緑は緑で、あなたはあなたでいいのよ。もともと持っている人としてのキャラクターとシンクロして魅力的なんだから。...吉高由里子がおじさんたちから愛される理由はそこにあると思います(笑)。
吉高: (低い声で)もっと若いのちょうだい~。
二宮: ダメダメ。若い人は完璧なほうが好きだから(笑)。
吉高: あ、そうですね(笑)。....なんかね、こういうことを屈託なく言えちゃうところが、魅力的というか、私も相手が二宮さんじゃなかったら、今みたいな受け方はできないと思う。他の人に言われたら、同じことでも全然違う解釈に取ってしまうと思いますよね。現場でもすごく冷静だし、踏んでる場数も全然違いますけど、なんか自分のフィールドや膜がなくて、生っぽく近づいてきてくれて。私はそういう人間的な部分が好きです。...あと、ガンツって200~300人が常に動いてる現場だったんですけど、そんな中でもスタッフの皆さんの名前を覚えるのがすごく速い!今まで会った人の中で、一番速くて本当に尊敬しました。
二宮: へへっ(ちょっと得意げな顔)
吉高: 私、00部さん、とかじゃなくて、ちゃんと名前で呼ぶ人が好きなんですよ。そういうところもちゃんとしていて。あとは...話していて楽しいですね。自分とは違う面白い解釈を聞けるから。そういえば、私が「人を飼いたい」っていうことを口にした時は...。
二宮: ポンとそんなこと言ってたねぇ。
吉高: そう、ポンと「動物には興味がないから、飼うなら人がいいな」と言ったら、「人だとわかっちゃうじゃん」って返ってきて。「えっ、わかるって?会話できるからいいんじゃないですか?自分の気が向いた時に一緒にご飯に行ったりすればいいし、気を使わない空間でいられそう」といったら、「一緒にテレビを見てて、こっちが楽しげに「ねぇ、ねぇ」って話しかけても、「あ~?」みたいな感じで接してこられたりして、きっとイラッとするよ。犬や猫だったら、実際は「あ~?」って気分だったとしても、人間には「ワン」とか「ニャー」としか聞こえないからわからないでいられるけど、人だとある程度の感情がわかっちゃうから」みたいな会話をしたことがあった。ホントにポロッと言っただけなのに、2~3秒でそこまで計算できるなんてちょっと変態レベルだとも思うんですけど(笑)。
二宮: 誰が(笑)。ちょっと、その評価の仕方おかしいでしょう?
吉高: そういう、ちょっと変態なところも二宮和也の魅力ですね(笑)。