after the Matchday 4

Nov 10, 2007 17:18

・Arsenal: Pereira Neves Denilson / Theo Walcott,
                  Alexander(Alex)Hleb / Tomas Rosicky,
                  Philippe Senderos, Cesc Fabregas, Robin Van Persie
・Disclaimer: lies, lies, and lies!!

*****
*プラハ、11月7日 23:00*

テオは分かっている。
デニウソン・ペレイラ・ネベスは、セスク・ファブレガスではない、ということを。

デニウソンは分かっている。
テオ・ウォルコットは、ティエリ・アンリではない、ということを。

スタジアムからホテルへ向かうバスのシートで、
テオは隣に座るデニウソンに目をやった。
デニウソンは窓枠に肘をつき、じっと外を見つめている。

プラハの冷たい雨のせいで二人の身体は冷え切っていたが、
こうしてそばに居ると、お互いの体温を感じられるような気がした。

テオはそっと、デニウソンの膝に手を置いた。
デニウソンは窓の外を見つめたまま、その手に自分の手を重ねた。

テオは、自分の手を包む暖かい力が、ゆっくり強くなっていくのを感じた。

ボールを受け取りながら広いピッチを見渡しても、
タックルをかわしながらサイドラインを駆け上がっても、
もう誰とも比較なんかされない。
そう、いつかそんな日が来る。

自分自身の名前で呼ばれる日が、やって来る。

テオとデニウソンには、それが分かっていた。

*ロンドン、11月8日 19:00*

ベルを鳴らすと、ドアが開いた。
ただいま、と笑顔で言ったアレックスを迎えたのは、
トーマスの、不機嫌そのものの顔だった。

調子はどう?明日の練習は行けそう?
心配して声をかけるアレックスに、
トーマスは表情を変えずに、
分かんない、多分大丈夫、と小さい声で答えた。

ほら、おいしい生ハム買って来たんだ、ワインもあるよ、
セスクのお父さんが大きいマーケットに連れて行ってくれたんだ、
アレックスが差し出したバルセロナ土産を、
トーマスは、ありがとう、と少しだけ微笑んで受け取った。

凄かったよ、カンプノウ、今年はあそこで試合するかもね、
アンリも元気そうでさ、ゴールも決めてたし、
手振りを加えたアレックスに向かって、
トーマスは、知ってる、ゆうべテレビで見た、
アーセナルは引き分けたけど、
グループステージの勝ち抜けはもう決まったよ、と、
また少し怒っているような顔になって、淡々と言った。

それは知ってるよ、アレックスは少しむっとしたが、
上目遣いでこっちを睨んでいるトーマスを見ていると、
その不機嫌の理由が手に取るように理解でき、
笑い出しそうになった。

アレックスは、ふくれているトーマスに近付き、
いい街だったよ、バルセロナ、と語りかけた。
知ってる、とトーマスは視線を下に落とした。

だから今度一緒に行こう、
アレックスは生ハムとワインを抱えたままのトーマスの腰に、
両腕をそっと廻した。

トーマスはやっと、笑顔になった。

*ロンドン、11月8日 19:30*

「寒い~!フィル!!ミルクティー!」
合鍵でドアを開け、部屋にずかずかと上がりこんできたセスクを見て、
フィリップは呆れながら、「プラハはもっと寒かったってさ。」と言い残し、キッチンへ消えた。

「自分だって行ってないくせに。」
フィリップに見えないように悪態をついてから、
リビングのソファーにコートと荷物を投げ出したセスクは、
「おかえり!」という聞き慣れた声に驚き、声の在りかに顔を向けた。

「セスク!バルサに移籍なんかしたら、お前を殺す!!」
床に座ったロビンがこっちを指差し、楽しそうに笑っている。
「…ロビーン… お願いだから家で寝ててよ…」
セスクが脱力してソファーに座り込むと、「俺の心配は?」という声がキッチンから聞こえた。

ロビンはその声に笑顔を大きくしたが、セスクの心配そうな視線に気付き、肩をすくめた。
「今日家に一人だったから退屈でさ。」
「バルセロナと違って天気の悪いロンドンで、かわいそうな者同士、寒さを凌いでたんだ。」
そう言って隣に腰を下ろし、湯気の立つマグカップを目の前に置いたフィリップに、
セスクはべーっと舌を出した。

目の前のテレビには、チャンピオンズリーグハイライトの映像が映し出されている。

―バルセロナ対レンジャーズ

「どうだった?バルセロナ。」
飲みかけの冷めたミルクティーに手を伸ばしながら、フィリップはセスクの顔を覗き込んだ。
「バルセロナはいつ行っても最高の街で、今年のバルサも結構いいチーム。」
セスクは自慢げにそう言うと、自分用の暖かいマグカップを両手で包んだ。

―バルサがアンリとメッシのゴールで勝利

画面には、勝利を祝福するバルサの選手達。
メッシ、ロナウジーニョ、プジョル。

そして、ティエリ・アンリ。

「またやりたいな。バルサと。」
ロビンが独り言のように呟いた。

誰も返事をしなかったが、三人の目は同じ影を追い、同じ光を見つめていた。

*****

チャンピョンズリ~グ、グループステージ第四節。
アウェーのプラハに、若手主体で乗り込み、
beautifulでもない試合で0-0のドローという結果だったarsenal。
せっかく先発した、デニウソンもウォルコットもイマイチ。。

そしてその日、お休みを貰った中盤の核の二人、セスクとフレブは、
プラハの冷たい雨に打たれているチームメイトと、
怪我をして休んでいる、ロビン、センデロス、ロシツキーをよそに、
快晴のバルセロナで、バルサ対レンジャーズを観戦。

という、11月7日とその後について、想像してみました。
やっぱり何だかうまくまとまらず。

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