花として、華として
小さい頃は、花を育てるのが嫌いだった。
別に育てるのが下手だったわけじゃない。じゃないけど…蕾がようやく花開いたと思ったら、咲き誇るのはほんのわずかの間で。後に残るのは散ってしまった花びらと、空虚さを感じる心だけ…。
「貴女は、花のようですね。」
まだカーテンの外も薄暗い寝室のベッドの中で、何気ないゼロスの一言。だけど過敏に反応してしまった。
「…どうして私が花みたいなんですかっ?」
「フィリアさん?」
ゼロスが少し驚いたように目を上げて。自分でも、予想外に大きくなった声にハッとして口元を手で抑え、ポフッと彼の胸元に顔を埋めた。
「…私は花じゃありません……。」
ボソッと呟く。分かっている…どうしてこんな気持ちになるのかは。
永遠を生きる貴方からすれば、私の寿命など花のように儚いものだと言いたいのでしょう?そんな私の心情を察したのだろうか、ゼロスはゆっくりと、
「確かに、一つの花が咲いている時間は短いですけど」
言い聞かせように。
「その種は風に乗ってどこかの地で、また新しい花を咲かせることでしょう。その球根は次の春を迎え、その根を芽吹かせることでしょう。…記憶は、生命は途切れることがないんですよ。」
本当は、魔族の僕が言うような科白でもないんですけど。
苦笑しながらそう告げる彼の声に、安心したかのように眠りにつく。その寝顔を愛しそうに見つめながら、
「僕が貴女に惹かれたのは、その魂の輝きゆえです。外見がどれだけ変わっても、その輝きは"永遠"――だから貴女は花なんです。」
本質は変わらない…そう、不変のもの。
――貴女は。
花として…その微笑みを与え続けてください。
華として…僕の腕の中だけで、咲き誇ってください。
あとがき
本当に久々に小説書いたら、
こんな意味不明文になっちゃった…。
とりあえず、ゼロスさんは
何度フィリアさんが生まれ変わろうが
その度に捕まえに行く気満々らしいです(笑)。