新装版ワイルドアダプター第六巻
限定版特典ミニドラマCD
「愛すべき七つの大罪」 vol.6 「憤怒」
時任: ・・・だから何度も同じこと言ってんじゃ!
誠人:物に当たることじゃないでしょ。もう分かったから。
時任:分かってねぇから言ってんだろ!
誠人:(ため息) 時任ぉ・・
時任:わざとらしくため息吐いてんじゃねぇよ!人のことバカだと思いやがって!
誠人:あのね・・誰がいつ、お前をバカにした?
時任:お前が、今!・・ってかいつもそうじゃねぇか!
誠人:へぇ、お前いつも俺がバカにしてるって思ってたんだ・・心外だな。
時任:そういう上から目線のこと言ってんだよ!
誠人:あっそう、じゃ、ごめんね。事実無根だけど。
時任:マジ頭来んな!何だよ、それ?!文句あんならそう言えばいいだろ!
誠人:文句も何も・・一人で怒ってるのは時任の方じゃない。
時任:あーあ、そうーかーよ。てめぇは関係ないってか?
誠人:そういう意味じゃない・・
時任:はっ!じゃあ、もう俺に関わんなよ!
誠人:時任ぉー
(時任は部屋に出ていく)
誠人:あーあ・・ 時任用のマグカップが粉々だ。俺のを割ってくれればいいのにね。
誠人:もうこんな時間か。
(テレビのチャンネルを回す音)
誠人:さてと。
(ドアにノック)
誠人:時任ぉー?お腹空いてるでしょ?朝から何も食べてないし。冷凍庫のご飯が溜まってきたからオムライスでも作ろうか。美味しいよぉ、オムライス。
時任:そうなんで機嫌直るとでも思ってんのかよ!ガキじゃあるまいし!
誠人:その不貞腐れ方は十分ガキだと思うけど。
(部屋の中から時任が何かを当たる音がする)
誠人:だから、物に当たるなってば。
時任:うっせぇな!放っとけっつてんだろ!
(誠人はため息を吐いて去る)
時任:一々癪に障るんだよ。くっそ!
(ライトの音)
時任:何で、そこにいるんだよ?
誠人:時任が前に言ったんじゃない、でもそこにいろって。
時任:いつの話だよ。
誠人:いつだって同じでしょ。俺はその約束に縋って生きてるから。でもお前が本気で俺を拒むなら、その時はね・・
(時任の荒い息)
誠人:今朝は悪かった。俺はお前をバカにしたつもりなんか一度もないからさ。ちょっと、腹立って・・
時任:ずるいんだよ、久保ちゃんは。
誠人:どの辺が?
時任:存在そのものが!
誠人:(笑) 酷い言われ用だな。
時任:久保ちゃんでも腹立てることあるんだな。なんかいつもクールにすかしてっくから。
誠人:お前、絶対俺のこと誤解してると思う。
時任:そんなことねぇよ。
誠人:こんなに四六時中一緒にいるのにねぇ。
時任:あのな。俺様ほど久保田誠人を観察してる奴はこの世にいないぜ。
誠人:観察って・・動物じゃないんだから。
時任:前に久保ちゃんさ、「早く人間になりたい」みたいなこと言ってたじゃん!
誠人:ま、そんな妖怪人間みたいな言い方した覚えはないけど。
時任:七つの大罪って知ってるか?昔翔太に借りた漫画で読んだんだけど。
誠人:えっとー 強欲とか、暴食とかの、あれ?
時任:そう、それ。人間が持ってる七大欲求だっけ。なんかあれ思い出すんだよな、久保ちゃん見てると。
誠人:何でまた。
時任:だってお前、何考えてるかよく分かんねぇとこもあるし、投げやりっつーか・・生きることにあんま執着ないっぽいみたいのさ。だからなんか、久保ちゃんの人間らしいとこ見つけると、ほっとしたりする。変だけどさ、お前が怒ったり、痛がったり、笑ったりすると、よく分かんだけど、嬉しいんだ。何でだろうな。趣味も性格も似てねぇし、たまにすげぇイラッとするけどさ、やっぱ俺・・お前にそこにいてほしい。
誠人:傲慢でも?
時任:俺のが傲慢じゃねぇ?
誠人:怠惰でも?
時任:お互い様だろ。
誠人:嫉妬深くても?
時任:度合いによるけどな。
誠人:色欲は?
時任:んっ?
誠人:色欲はぁ~?
時任:何でそのタイミングで入ってくんだよ!
誠人:何でものに当たるかな・・
時任:物を介してお前に当たってんだよ!俺様流の優しさだろ。有り難く思え!
誠人:なるほど。でもさ、やっぱ可哀相じゃない?
時任:何が?
誠人:俺のマグカップ。ペアで並んでたのが片方だけ残されるのは寂しいもんだよ。
時任:悪いっ、また買ってくる。
誠人:じゃ、せっかくだから今から出かけようか? ん、で、駅前で何か食って帰ろう。
時任:だな。 お前のせいで超オムライス食いたい!
誠人:だから、オムライスならうちで作らないと、冷凍庫が残り物ご飯で溢れるんだってば。
時任:久保ちゃんの作るオムライス卵薄いんだよ!もっとこう、フワドロなさぁ!
誠人:この期に及んで・・何で俺が作ること前提なんだろうなぁ
時任:ていうかさ、俺たち何で喧嘩したんだっけ?
誠人:さあぁ。
終わったぁ!@_@’’
聞き違いがあればぜひ教えてください。
これは他のファンのために書いてみたもので、利益はなし。
『WILD ADAPTER』は峰倉かずや先生の作品です。
Disclaimer: This is made by fans for fans. Wild Adapter belongs to Kazuya Minekura.