CRASH!

Jun 10, 2016 12:32

- Title: CRASH!
- Language: Japanese
- Rating: G (Pre Slash/微腐)
- Pairing: KS/TT (the alfee)
- a disclaimer: Of course, it's all fiction. すべて妄想の産物です
- Summary: Inspired by their stage, 5/29 2016 at NHK hall


---手あたり次第 I love you I need you・・・

歌いながらお前の背中にしなだれかかるようにすれば、客席の黄色い声がひときわ甲高くなる。うらやましいだろ?という視線を視線を客席に投げればまたひときわ。でもこれは本心でもある。うらやましいだろ。
調子に乗って体重をかけると、ギターを弾きながらお前のたくましい腕が押し返してくる。
赤と黒の尖ったごついギター、黒にグリッターの入ったぴったりした衣装、硬質でゆがんだ音のリフ。
そしてざっくりとV字型に開いた襟元から見える汗の浮かんだ真っ白の胸元。
思わずマイクの入らないところで「いい眺めだねえ」と言ってしまい、たしなめるような笑みをお前からいただく。
こんなこと言っちゃうから、ろくでもない男を歌った歌詞ばっかりおれに回ってくることになるのだ。

桜井がよく、女装したお前を見て道を誤ってしまいそうだ、なんていうけれど、おれに言わせればああいう作られた美しさなんてまだまだだ。たとえばいい感じに煮詰まったレコーディング続きの深夜、お前に「ここアコギ8小節何か考えてみてくれる?」なんて言われて別室でギター弾いて、よしこれはどうだ?とスタジオに戻るととうとう寝不足に負けたお前がコンソールに突っ伏して眠っていたりする。そっと寄って行ってしばらく眺めていると、スタッフがスタジオの外をうろうろとしていなければ魔が差してしまいそうになる。何食わぬ顔で、無聊をなぐさめるようにギターをつま弾きながら、お前の寝顔にさらりと長い髪がかかるのを眺めている。42年間同じように。

お前の書く歌詞が柄にもなく、人生の無常を見据えるようになってきて、おれも墓場まで持ち込む覚悟の想いについて少しは考えるようになった。まあ、基本的なスタンスに変わりはないけれど、お前もまさか今さら右隣に刺客が潜んでるとは思うまいよ。

ロマンチックなMCは昔からお前の担当だけど、最近は笑いを織り込むようになって突っ込みを入れやすくなってきた。いや以前の、お前が喋るあいだどんな顔して立ってたら良いものか困る感じのも嫌いじゃなかったけどな。

「改めて、恋してみる?」
「お前?なんでだよ!」
「62歳同士で」

呆れたように笑いながら、真顔で言うなよなんて思ってるかい?
そう思っていてくれるとありがたい、お前が鈍いほど張り合いがあるからね。

おわり

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