eniwasorati
Apr 17, 2010 23:58
散り始めた桜の花びらと一緒に雪が舞う寒さの中、私達は自転車で出掛け土曜の休みを公園で過ごした。
午後の日が翳ると気温はどんどん下がり浜田山の家に戻った頃には体がすっかり冷えた。私と彼は、狭い
日本式の風呂に湯を張り、満杯になるのを待てずに風呂に入った。日本のしきたりを律儀に守り体を湯で流す
彼を横目に私はどぶんと湯船に浸かる。「あ、こら」と彼も浴槽に入ってくる。大人一人で一杯になる浴槽で
私達はなんとか体を湯に浸そうと体の位置を工夫し、ついにぴったり合う形になって、隅々まで温かくなった。
…すっごいお久しぶり、外人リーマンの東京暮らしです。相変わらず米国人の住む日本家屋で
いちゃついてます。お風呂も日本サイズなので二人で入るには相当狭い。出られなくなったりして。誕生日ネタにはならなかったな
外人リーマン,
s/v au
eniwasorati
Apr 17, 2010 06:52
依頼人の精神状態は不安定で罪状認否は不首尾に終わった。裁判となるがこちらに不利な状況は変らず
過去の法例を調査しながら打つ手を思案する。むしろ司法取引で減刑を狙うか。陪審にどうアプローチを
するか。助手に「時間です」と声をかけられ資料を抱えて法廷に急ぐ。裁判所のエレベーターで検察官達と
一緒になった。彼らは無駄口を叩かない。満員のエレベーター内は妙な静寂と緊張があった。刑事部の
フロアで彼らは降りる。一人がちらりとこちらを見た。私も目で応える。誕生日おめでとう、後で会おう、と。
…もごもご弁護士さんと検察官さん。お仕事中でした。
s/v au,
弁護士
eniwasorati
Apr 16, 2010 22:05
「誕生日に何をもらったら一番嬉しい?」とストレートな質問。「なんだろう、そうだな、記念になる物がいいな」
無難な答で動揺を隠そうとしたが、顔がにやつくのは止められない。相棒が私を祝ってくれようとしているのが
嬉しい。彼は「記念か」と呟きながら思案顔で部屋を出た。誕生日を祝う年齢ではないが、気にかけてくれる
だけで有難い。特別な贈り物はいらないんだが。夕方になって相棒は戻って来た。「探したんだけどなかなか
なくて」と広げた掌の上には碧色の小石があった。「あんたの目の色に一番近い」彼は照れ臭そうに笑った。
…豆誕にちなみまして。アーモンド売りの人達でございました。この人達、潜在的にお金ないから~
失業者,
s/v au
eniwasorati
Apr 03, 2010 22:19
4月2日の朝、相棒とは絶交中だ。エイプリルフールの悪戯に彼はすっかり腹を立てている。彼の紙巻き
煙草の中を藁に詰め替えておいた。手間はかかったが割といい悪戯だと思う。絶交する程じゃない。でも
彼を怒らせた…冷えた隣の寝床を溜息混じりに眺め、服に着替えブーツを履いた。「うわあ」靴の中には
トマトが仕込まれていた。部屋のドアが開き、湯を張ったバケツを持って相棒が入ってきた。私をベッドに
座らせ、トマトで汚れた足をスポンジで洗いながら「お返しだ」と片目をつぶる。ああ、あんたの勝ちだよ。
…まだエイプリルフールネタでした。アーモンド売りの人達ですね。悪戯仕掛けあってます。
でも足洗って上げるんですね。結局ラブラブって事ですかね。
失業者,
s/v au
eniwasorati
Apr 01, 2010 19:19
「以上、イースターの国からうさちゃんがお伝えしました」キャスターの〆の言葉に私はOKの合図をして
カメラと音声がオフになった。嫌がるキャスターを説き伏せてタキシード姿に白く長い耳と丸いしっぽを付け
させて、メルヘンチックな公園でのロケだ。イースターの日に流す番組スポットだと、彼には言ってあるが
今日は4月1日。スタッフ総出のひっかけだが、まだ彼は気づいていない。「これもうはずしていいか?」
と照れて言う彼。穴に落ちた時こんなうさぎ紳士が迎えてくれたらアリスは夢から覚めないだろうなあ。
…ニュースキャスターさんも騙されてます。エイプリルフールだから。こっちの仕掛け人は
ディレクターさんとスタッフです。これはたぶん一般には放送されず、エイプリルフール企画として
s/v au,
ニュースキャスター
eniwasorati
Apr 01, 2010 15:54
「このダクトの調子がどうも悪いんすよ」作業員がハッチを示す。「俺の手には負えないんでボス頼みます」
お前らに直せないものが俺に直せるわけないだろ、と思いつつハッチに入るとバタンと扉が閉められた。
「おい、なんだ、開けろ!」急な暗闇に慌てて声を上げると「ボスもやられましたか」とモゴモゴ言う声が。
狭い作業空間にヴィゴがいた。今日はエイプリルフール。いろんな悪戯が仕掛けられる日だ。「お前、今
出ればよかっただろ」つい言うと「寝てたんで…そのうち出してくれますよ」声は暗闇の中で柔らかく笑った。
…北極油田のボスとヴィゴ。エイプリルフールなんで閉じ込められてます。
s/v au,
北極油田
eniwasorati
Mar 25, 2010 11:31
港の外の浜辺は多くが岩礁で覆われ釣り船もなかなか近寄れないが、街から1マイルの距離に小さい
砂浜がある。灯台職員との夜釣りにそこを選んだ。暖かい海流が春を運んでくる。すぐに深くなる海に
遠く針を投げ、釣竿を固定すると焚火の側でアタリを待つ。持参したチョリソを火に炙り、ビールを飲み
彼と私は様々な話をした。彼が町政について聞きたがるので、町長として州政と地方自治について語る。
焚火の向うで彼は腕組のまま居眠りをしている。水平線を行く船の灯が見える。穏やかな春の夜だった。
…町長と灯台職員の話。町長は語り出すと長いので、灯台さんもついウトウトしてしまうのでした。
サイトの方では3年後まで一気に飛びましたが、LJではまだまだ出合ったばかりの頃でゴザイマス。釣り仲間。
s/v au
eniwasorati
Mar 02, 2010 18:13
今日の法廷は予備審議のみ。依頼人の接見はキャンセルになった。5階小法廷前のロビーには日が差して
明るい窓際で携帯をかける。相手はすぐ出た。「今夜は早く帰れるんだ…じゃ私の家で…いいね、楽しみだよ」
電話を切って目を上げると通りかかった老婦人と目が合った。「恋人?うらやましいわね」と彼女が微笑んだ。
私も微笑み返し、老婦人の背を見送ってから窓の外を眺めた。隣の検察庁ビルの3階、東から4つ目の窓、
彼のデスクは奥まっていてここからは見えないが。さて、食料品屋でスコッチに合うつまみを見つけてこよう。
…弁護士さんは今日は早上がりらしいです。検察官の彼も定時で帰れるらしい。ふふふ
s/v au,
弁護士
eniwasorati
Feb 25, 2010 09:37
地上基地にヘリが到着すると同時にまた強烈な雪嵐がやってきて、俺達は休暇の最初を宿舎で過ごした。
赤ん坊と妻が待つ家に電話する若い奴は涙声だ。特に待つ家族もない面々は真水の風呂に入り、洗濯をし
暖房の効いたバーで飲む。それにしても暇だった。スツールに浅く腰掛ける俺を後から急に抱かかえて
持ち上げた奴がいる。「意外と軽い」ヴィゴだ。周りも暇な奴ばかりで「俺にもやらせろ」「ボスは痩せすぎだ」
などと俺を交代で持ち上げた。バーベルか俺は。「やめろ!」と怒ったが奴らはニヤニヤするばかりだ。
…北極海油田のボスは2週間の休暇を取るためにプラットフォームから地上基地へヘリで移送しましたが
まだ吹雪で、今度は宿舎に缶詰です。暇な作業員さん達に弄ばれてます。
s/v au,
北極油田
eniwasorati
Feb 23, 2010 21:58
その日の午後は特に予定もなく、昨日の酒がまだ残っているのか頭がすっきりせずにいた俺は昼寝を
する事にした。「ちょっと昼寝」相棒に声をかける。今から寝て夜眠れなくなったら、その時はDVDでも
見ればいい。そんな事を考えながら2階に上がる。相棒が後からついて来て、一緒に部屋に入ると服を
脱ぎ始めた。「昼寝するんだが」と呆れると、奴は平然と「俺もだ」と言い、俺のベッドに入ってしまった。
俺も服を脱ぎながら「耳はやめろよ」と言うと、相棒は眠そうに青い目を細め毛布を持ち上げ俺を誘った。
…すっかり久しぶりです。ホントに時間の経つのはあっという間でございます。
あまり書かないと文章のコツがまるっきり分からなくなるので、また5行再開でございます。で、これは誰かと言うとアーモンド売りの人達ですな。
失業者,
s/v au