『Habitué――常客―― 』 の翻訳を更新しました。Here is the new part of the translation of Habitué.
スラッシーな内容に、ご注意ください。Please be warned of slashy contents.
Author: Anise様 (
anise_anise)
Pairing: Snape x Draco
Rating: 時々18禁 (Occasionally NC-17)
Previous & Summary:
これまでのお話 & あらすじOriginal Work:
原作 ※この翻訳は原作者様のご許可を頂いて掲載しております
===
斯(か)くして、二人は再び、コニャックの杯を手に暖炉の前に落ちついた。スネイプは椅子に背を預け、自分の書きこんだ注釈で埋め尽くされた羊皮紙に見入っているドラコを眺める。
「このうち、半分以上のものは、取り扱いを誤ると即死に繋がる、と」ドラコが青ざめた顔でつぶやいた。
「どのような結果を期待していたのだ」スネイプは、眉を上げて聞く。「それでもまだ、自分で処理したいかね」
ドラコは首を横に振った。「いいえ。でも、僕、オーラーは呼びたくありません。前に言ったことは本気なんです。もうあいつらには我慢できません」言って、口を引き結び、挑戦的な眼差しでスネイプを睨みつける。
スネイプは溜め息をついた。「勝手にしたまえ。しかし、誰か適切に対処できる人物は必要だ。世の中には、闇魔術に精通していて、かつ、政府関係者でない者もいるということをご存知かね」
「もちろん分かってます」ドラコは言いかえし、美しく手入れのされた指を髪に滑らせる。「でも、オーラーでも、犯罪者でもなくて、闇魔術に精通してる人なんて知りません。僕、オーラーも犯罪者も家に入れるのは嫌です」ドラコは横を向いた。
「であろうな。しかし、そのどちらでもなく、信頼に足る人物を、何名か紹介することはできる。もし、興味があればの話だが」
ドラコは表情を和らげて、微笑んだ。「ぜひお願いします。ありがとうございます」言って、手の中の杯を回し、暖炉の火が琥珀色の液体に遊ぶのを見つめる。「でも、先生がやってくださるわけにはいかないのですか。それか、せめて立ち合ってくださるわけには」
スネイプはしばし黙して考えこんだ。「立ち合う程度は可能だろう。特に私にいて欲しい理由でもあるのかね」
ドラコは肩を竦(すく)める。「先生を信頼してますから。いていただけたら、これほど心強いことはありません」少年は暖炉の火に視線を移した。「もちろん僕は引きつづき、先生のお手伝いをさせていただきます。夜とか」
「ああ、研究室における君の奉仕を私が望んでいると、君は、こう、考えているわけだね」
ドラコは長い睫をゆっくりと擡(もた)げた。「それではもっとべつのところで、もっと違うご奉仕をいたしましょうか、先生」その蠱惑的な口調に、スネイプは一瞬言葉を失う。
答えることができるようになったのは、しばしののちだった。唾を飲みこみ、声が掠れないよう用心して口を開く。「いや、結構。研究室で魔法薬の調合を手伝ってくれれば、それで充分だ」努めてぞんざいに言う。
ドラコは、星が瞬いているような瞳を向け、杯を掲げると、首を傾げて微笑んでみせた。「了解です、先生」
その瞬間である、何かしらの遊戯に負けたのだとスネイプが悟ったのは。せめてその忌々しい規則を教えろ、とスネイプは心の中で悪態をついた。
[ << ] [ Main ] [ >> ]===